
バンダイナムコグループのリアルエンターテインメント事業を担う株式会社バンダイナムコエクスペリエンス。
同社では事業部主導でSaaS導入が加速する一方、管理者が把握しきれない「野良SaaS」が増加し、情報システム部やガバナンス担当部門が全容を掴めない「管理の空白」が生まれていました。
特に、退職済み社員のアカウントが削除されずに残ってしまうリスクは、企業の安全を揺るがす重大な課題でした。
この難局に対し、同社はIT資産管理ツール「zooba」を導入。さらに、既存の社内文化を活かした独自の運用ルールを設計することで、わずか1年で管理対象を約3倍に拡大し、資産の9割を可視化することに成功しました。
その「急がば回れ」のガバナンス改革について、デジタルマネジメント部の菅野和民様と、情報システム部の宮澤藍子様にお話を伺いました。
課題
・事業部主導のSaaS導入により「野良SaaS」が乱立し、契約状況や利用者の実態把握が困難になっていた。
・Excel台帳の更新が追いつかず形骸化し、管理不能な「ブラックボックス」状態に陥っていた。
・退職者のアカウント削除漏れが発生し、情報漏洩などのセキュリティリスクが高まっていた。
対応策
・IT資産管理ツール「zooba」を導入し、SSO非対応を含む全SaaSの一元管理基盤を構築した。
・ツールの定着のため、既存の「衛生委員会」を参考に「セキュリティ委員会」を組織し、ガバナンス体制を再設計した。
・各部署に担当者を配置して年1回の棚卸しを義務化し、月次の退職者チェックフローも確立した。
効果
・1年間で管理対象のSaaSが約3倍(約90件)に増加し、社内IT資産の約9割を可視化することに成功した。
・人事データと連携した退職者削除フローが定着し、アカウント残存によるセキュリティリスクを大幅に低減した。
・直感的なUIと手厚いサポートにより、派遣社員や業務委託メンバーでも回せる持続可能な運用体制を実現した。

菅野 和民 様 コーポレートディビジョン デジタルマネジメント部 ゼネラルマネージャー
宮澤 藍子 様 コーポレートディビジョン 情報システム部 アシスタントマネージャー
Q. まず、お二人の部門の役割と、今回のプロジェクトにおける目的を教えてください。
菅野さん: 私の所属するデジタルマネジメント部は「ビジネスIT」を担当しており、事業成長のための戦略策定やガバナンス設計を担っています。
今回の目的は、事業部のスピードを損なわずに統制を効かせる「ガバナンスの仕組み作り」です。「セキュリティ委員会」という組織を立ち上げ、SaaS導入時の審査ルールや、それが事業にとって本当に有効か(重複していないか)という「実効性」の判断を行うのが私の役割です。
宮澤さん: 私は情報システム部に所属し、「コーポレートIT」としてインフラ基盤やセキュリティの実務を担当しています。
私の役割は、菅野が設計したルールを「確実に運用し、リスクを排除すること」です。具体的には、「zooba」を使って日々の利用状況を可視化したり、退職者のアカウント削除を徹底するなど、現場で運用を回しながらセキュリティリスクを最小化することを目的としています。
Q. 導入前、SaaS管理においてどのような課題を抱えていましたか?
菅野さん: 弊社は事業推進力が非常に強く、現場判断で便利なSaaSが次々と導入される文化があります。しかし、そのスピードに管理体制が追いつかず、誰が・どのサービスを使っているのか把握できない「野良SaaS」が点在していました。
宮澤さん: 以前はExcelでの台帳管理を試みていましたが、更新が全く追いつかず形骸化していました。「何がどれだけあるのか」という現状把握すらままならない状態だったのです。
Q. 具体的に、どのようなリスクを感じていたのでしょうか?
菅野さん: 最大の懸念は「退職者のアカウント管理」です。以前、退職した社員のアカウントが削除されずに残っていたケースが見つかり、強い危機感を覚えました。人の入れ替わりが頻繁な組織において、退職者のアクセス権が残存することは、情報漏洩に直結する重大な経営リスクです。
Q. そのリスクに対し、どのような工夫をされましたか?
菅野さん: 単に「ツールを入れたので入力してください」と言うだけでは、現場は動きません。そこで、社内で定着している「職場環境を整える委員会活動(衛生委員会など)」の仕組みを参考に、「セキュリティ委員会」を組織しました。
各部署から担当者を選出し、年1回の棚卸しを「会社を健全に保つための当たり前の活動」として制度化したのです。IT管理を「システムの問題」ではなく「組織運営のルール」として再定義したことが、定着のポイントでした。
Q. その基盤として zooba を選んだ決め手はなんでしょうか?
菅野さん: 「費用対効果」と「スモールスタートのしやすさ」です。 高機能すぎるツールはコストも高く、使いこなすまでに時間がかかります。zooba は必要な機能が揃っており、リーズナブルに導入できるため、まずは「現状を把握する」という第一歩を踏み出すのに最適でした。
Q. 実際の運用はスムーズに定着しましたか?
宮澤さん: はい。運用担当者として特に助かっているのが、マニュアルをほとんど見なくても使える直感的なUIです。現在は私だけでなく、業務委託や派遣社員の方々ともチームで運用していますが、「使い方がわからない」という声は一切出ていません。教育コストをかけずに運用を回せるのは大きなメリットです。
Q. 導入時や運用中のサポート体制はいかがでしたか?
宮澤さん: CS(カスタマーサクセス)の方のサポートが非常に手厚く、安心感がありました。 特に印象的だったのが、大量データの取り込み機能です。弊社は対象アカウント数が多く、CSVでの一括取り込み(500件以上)を行った際にスムーズにいかない部分があったのですが、要望をお伝えしたところ迅速に機能改修いただけました。
現場の声を製品に反映してくれるスピード感は、zoobaならではの魅力だと感じています。

Q. 現在、具体的にどのような運用でアカウント管理を行っていますか?
宮澤さん: 基本的には、「月次の退職者チェック」と「四半期ごとの棚卸し」という2つのサイクルで回しています。
まず月次の運用ですが、人事から提供された退職者リストをzoobaに取り込んで、SaaSのアカウントが残ったままになっていないかを毎月確認します。もし削除漏れがあれば、各ツールの管理者に「この方は退職済みですよ」と連絡して、即時削除してもらうフローを徹底しています。
それに加えて、3ヶ月に一度は「契約したけれど誰も使っていない」といった無駄なコストが発生していないか、各担当者に利用状況を確認して棚卸しをしているイメージですね。
菅野さん: 以前は人事データの入手や突合すら手作業で困難でしたが、今はセキュアな環境で確実にチェックできる体制が整いました。運用が定着したことで「退職者のアカウントが確実に消えている」と言える状態になったことは、ガバナンス上非常に大きな成果です。

Q. 導入から1年が経ち、どのような成果が出ていますか?
宮澤さん: 導入当初は20〜30件程度しか把握できていなかったSaaSが、現在は約90件まで登録されています。SSO(シングルサインオン)に対応していないサービスも含め、社内のIT資産の約8〜9割を可視化できました。Excel管理から脱却し、常に最新の状況が見える化されています。
菅野さん: 不透明だった部分がほぼ解消されました。今後は、今は各部署にお願いしているアカウントの発行・削除を自動化したり、重複している似たようなSaaSの統廃合やコストの可視化を進めるなど、単なる管理から「最適化」のフェーズへ進んでいきたいですね。
Q. 最後に、ガバナンスに悩むIT担当者の方々へアドバイスをお願いします。
宮澤さん: もし一元管理を目指すのであれば、「最初から」ツールを導入しておくことを強くお勧めします。
私たちのように途中から導入すると、運用ルールを直したり、不明な担当者を探し回ったりと、初期の是正コストが非常に高くつきます。SaaSは増える一方ですから、数が少ないうちから仕組みを入れておくことが、結果的に一番の近道になるはずです。
菅野さん: まずは始めてみないとわからないことも多いので、「スモールスタートできるかどうか」は重要な視点です。
最初から高額で多機能なものを入れるのではなく、zoobaのようにリーズナブルで導入しやすいツールを選び、まずは現状把握から始めてみてはいかがでしょうか。できたところから「じゃあ次はこうしよう」とステップアップしていくのが、現実的なガバナンス強化の道のりだと思います。
会社名:株式会社バンダイナムコエクスペリエンス
所在地:〒108-0023 東京都港区芝浦3-1-35
設立:2025年2月14日
資本金:1億円
事業内容:リアルエンターテインメント事業に関わる施設・機能・サービスの企画・開発・運営・販売
https://xp.bandainamco-am.co.jp/
おすすめ記事
記事検索

お問い合わせ・ご相談など
導入に関するご相談、機能の詳細確認、見積依頼など、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。
専任スタッフが迅速に対応し、最適なご提案をさせていただきます。
お問い合わせをする

資料ダウンロード
本サービスの詳細をまとめた製品紹介資料(PDF)をご提供しております。
機能一覧、ユースケース、導入効果、運用イメージなどを網羅しており、導入検討に必要な基本情報を一通りご確認いただけます。
資料をダウンロードする